野菜の魅力を100%引き出す「切り方」のコツ
野菜の切り方を意識すれば、味がよりおいしくなるだけでなく、見栄え、調理時間、栄養価にも良い変化が起きます。野菜の性質をよく見て、それを生かすように切り方を工夫してみましょう。包丁を上手に使えると、素材の魅力を100%引き出せます。
お料理の際、野菜の「切り方」は自己流です、という方は案外多いようです。しかし、切り方を変えるだけで、お料理全体の印象はけっこう変わるもの。「腕が上がったね!」と言われるほどに変化することがあるのですから、知らないままでいるのはモッタイナイ。そこで、お料理がより良く変身するための「切り方」のコツをご紹介しましょう。野菜との向き合い方が変わりますよ。
「野菜の切り方」で変わる5つのメリット
野菜の「切り方」を意識して包丁を持つと、どんないいことがあるでしょうか。代表的な5つをご紹介します。
- おいしくなる…火の通り加減、味のしみ込み加減、食感を調整できます。
- 食べやすくなる…口に入れやすい大きさ、形、固さ、柔らかさを調節できます。
- 仕上がりがキレイ…素材の色と形が目を楽しませ、おいしそうに演出してくれます。
- 栄養価を逃さない…切るタイミングを知っていると、栄養素の流出を防げます。
- 調理時間を短縮できる…小さく切る、繊維を断つ、などで火の通りが早くなります。
どれも小さなことのようですが、実際にやってみるとお料理の変化に納得しますよ。では、そのための切り方を詳しく見ていきましょう。
切り方のコツ1~繊維の向きで、味わいを変える
野菜の切り方を工夫して、もっとおいしくしたい! そう思ったときの一番のコツは、形や大きさだけでなく、「繊維」の存在を意識することです。野菜の繊維の向きに対して包丁をどの向きにするかで、味わい、歯ごたえが変わるのです。
繊維に沿う切り方
繊維に沿うように切ると適度に水分を保つことができるので、火を通しても歯ざわりよく仕上がります。例えば、大根やニンジンのシャキシャキとした歯切れのよい食感を楽しみたいとき、ごぼう特有の歯ざわりを生かしたいときには、繊維に沿って縦に切ります。また玉ねぎも繊維に沿って切ると、炒めても適度な食感を残せます。
繊維を断つ切り方
繊維を断つように切ると水分が出やすくなって、早く火が通り、食感はやわらかくなります。例えば、大根、ニンジン、玉ねぎなどを輪切りにすると繊維が切れ、よりやわらかく、うま味が引き出されやすくなります。また生で食べるときも、繊維を断つとピーマンは青臭さが抜けますし、キャベツの千切りは食感がやわらかくなります。
切り方のコツ2~切るタイミングを見計らい、栄養を守る
キャベツ、白菜などの葉物は、3つに解体して使い分ける
キャベツや白菜などを丸ごと買ったとき、外側の葉からはがして食べていくことが多いと思います。ですが、キャベツのような葉物野菜は、収穫後、外葉の栄養分を中心に送る性質があるので、時間がたつと外葉の栄養が抜けていることもあるのです。したがって、一玉買ったら、まず外葉、内葉、中心部の3つに切り分けて、中心部から使っていくと全体の栄養分を逃すことなく食べられます。切り方は、中心部は繊維に沿って切りサラダやお漬物に。内葉、外葉は煮物や炒め物に。繊維が固い部分もあるので、繊維を断つように切ったり、葉脈の軸を削ぎ取ったりすることで、食感はやわらかくなります。
ほうれん草、小松菜、春菊などの青菜は、ゆでて、絞ってから切る
ほうれん草、小松菜、春菊などの青菜の野菜は切るタイミングがポイント。下ゆでするときは、お鍋にたっぷりお湯を入れて約1分。その後さっと引き上げ流水で冷やし、根本から葉先まで手で絞っていきます。切ってから絞ると栄養が流れてしまうので、必ず先に絞ってから切りましょう。加熱に弱いビタミンCの流出を防ぐため、ゆでる時間、水につける時間、どちらも短くすることが大切です。
切り方のコツ3~仕上がりを計算して、大き目に切る
野菜を切るときの基本といわれるのが、「大きさ」をそろえること。大きさがそろっていると、火の通り具合も、味の含み具合も均一になり、見た目もキレイ。それが食べたときの印象になるのですね。この基本をふまえたうえで、ポトフや肉じゃがなどの煮込み料理では、煮崩れすることを計算して、食材のサイズを決めましょう。少し大き目にする、あらかじめ角を取っておく、など下準備がモノを言います。
大阪の野菜を使って、違いを確かめてみてください
太陽の光をたくさん浴びて育った大阪産の野菜で、ぜひ上記のコツを確かめてみてください。野菜は、産地、生産者、環境などによって個性が出るものです。野菜一つひとつの姿形、茎の太さ、繊維の方向などうぃしっかり観察して調理してあげてください。大阪には、キャベツ、玉ねぎ、ほうれん草、小松菜、春菊、ゴボウなど、たくさんのおいしい野菜があります。「切り方」を意識するだけで、大阪らしい元気いっぱいの野菜の魅力を存分に味わっていただけるでしょう。
最後は、食べる人の笑顔をイメージして
料理本を見ると切り方や大きさの指示がありますが、すべて「その方法がベスト!」という理由があるから。よりおいしく、より歯ごたえが良くなる、という理由もあれば、より食べやすく、より時短で、より見栄えがよくなる、という理由もあるでしょう。何を重視するかによって切り方も変わります。また、お年寄りや子供向けにあえて小さく切る、ボリューム感を演出するためにあえて大きく切るなど、食べる人の好みに合わせてサイズを考えるのも楽しいもの。やはり最後は、食べる人の笑顔をイメージしてお料理するのがおいしく仕上げるコツですね。
●大阪府内のJA直売所でも扱っております
参考:
- 「切り方」ひとつでいつもの料理がもっとおいしくなるレシピ 小田真規子著/扶桑社
- 料理をおいしくする切り方のひみつ 脇雅世著/NHK出版
- にら、ほうれん草、白菜、りんごの正しい切り方とは?|NEWSポストセブン
- キャベツの外葉は捨てないで! 部位別の美味しい食べ方|FOODIE