古(いにしえ)より人気のくだもの、「無花果」と書いて「いちじく」と読む。花が無いから無花果ではなく、果実の中のツブツブこそが花なのだ。いちじくの美味さを際立たせているのは、花のあの歯ざわりだと思う。いちじくは古くから人々を魅了してきた。メソポタミア、エジプト、ギリシャ、ローマでは紀元前より栽培されていたという。古代より女性に人気で世界三大美女の一人といわれるクレオパトラの大好物でもあったとか。いちじくはまた現代の女性にも人気だ。
古墳の街に、いちじく産地大阪南部にはたくさんの古墳がある。世界遺産をめざす百舌鳥・古市古墳群のことを知る人も多いだろう。古墳好きの若い女性を指し、「古墳女子」という言葉も生まれた。いまなぜ古墳が面白いのかという話は2018年秋発行の『ザ・古墳群~百舌鳥と古市 全89基』(140B)を読んでいただくとして、日本一の高さを誇る応神天皇陵古墳がある羽曳野市誉田(こんだ)に大阪一のいちじく産地があったのだ。 夏の一日、墳丘の麓に一面のいちじく畑が広がる藤井農園を訪れた。 大阪で、ハウスいちじく栽培園...