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トップ > お知らせ・ニュース > アグリスペシャリストに聞く!新規就農の成功のカギは【5W2H】

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5W2Hのビジュアルイメージ

「アウトドアが好きだし、自然の中で働ける農業って楽しそう」

「農業でやっていけるのかな。収入ってどれくらいあるのかな」

「新規就農したいけど、何から始めていいかわからない」

 

ちょっと農業に興味がある人から真剣に就農を考えている人まで、それぞれの現在地から新規就農を成功に導くためのヒントとなる「5W2H」。JA大阪中央会 大阪農業振興サポートセンター アグリスペシャリストの森田さんが提唱する「就農する前に押さえておきたい5W2H」についてご紹介します。


お話を聞かせてくれた人 > JA大阪中央会 大阪農業振興サポートセンター アグリスペシャリスト 森田彰朗さん

都市農業参入サポートセンターの初代チーム長、府立農業大学校の校長、農とみどりの総合事務所の所長などを歴任し、大阪府職員として38年にわたって大阪府の農業に広く携わる。退職後、2021年4月より大阪府農業協同組合中央会で「大阪農業振興サポートセンター アグリスペシャリスト」として精力的に活動中。


 

■まずは一番重要!情報収集のヒント

農業に興味を持ってインターネットなどで検索すると、新規就農の体験談や農家ブログから農産物栽培のノウハウまで、膨大な情報があふれています。まずは興味のあることを思いのままに調べていくことからスタートするのが一般的でしょう。

 

ネットではいいことばかりが書いてあったり、自分自身も楽しいことだけをピックアップしがちですが、最初の情報収集の段階で重要なことは自分が農業に向いているか向いてないかを冷静に判断し、後悔しないよう選択すること。簡単なことばかりではなく苦労も多い職業だとわかっても、なお農業に魅力を感じたなら、さあ次に進みましょう!

 

5W2Hで具体化!新規就農を成功へ!

5W2Hについてお話する様子

情報収集の次は、実際に相談に行ったり見学に行くなど具体的に動くことになりますが、その前に自身の考えをまとめておくことが大切です。森田さんが提唱する「就農する前に押さえておきたい5W2H」を一つずつ明確にしていきましょう。

 

Where●どこで始める?

現在住んでいるところに近い農地、作りたい作物に適した土地、都会を離れて田舎へ、などそれぞれ希望があるはず。特に地方では農業の担い手が減っている現状の中で、就農者は歓迎されています。都市近郊でも高齢化が進み、後継者がいない場合は農地を貸すという農家も増えているようで、丁寧に情報収集すれば希望の土地で就農できるチャンスもありそうです。

 

When●いつから始める?

自分の人生設計・計画の中でどこからスタートするか。新しい挑戦には勢いも必要ですが、一度は冷静にライフプランを立ててみましょう。家族やパートナーがいる人はしっかりと相談して決める必要もあります。いずれ人を雇うとしても、当初は家族の手伝いが必須になることが多く、協力してもらうには事前の情報共有が重要です。

 

What●どんな作物をつくる?

どのような作物をつくりたいかという点においては、希望通りにいかないこともあります。南国の果実を北海道ではつくれないわけで、Whereの土地選びにも密接に関係してくるわけです。昨今、大阪府では消費者の関心も高い、いちごの栽培が人気です。しかし、設備が重要なので初期投資費用がかさむなど、さまざまな問題点をクリアしていく必要があります。

また、少量多品目でいくのか、品目を集中していくのかという栽培スタイルの選択もあります。多品目はリスク分散はできるものの利益が出にくい、少品目の場合は競合との差別化が重要になるなど、それぞれの特性を理解して決めることが大事です。

 

Who●だれと一緒に農業をする?

農業には農作業の現場だけでなく、栽培プランを立てたり、必要なものを購入したり、収穫後の売り先を開拓したりと、様々な仕事があります。一人で全てを行うのは難しく、周囲の協力があれば安心です。友人を介してニッチな商品でも納品先を確保できるのであれば、その人もWhoに含まれますね。頭を柔らかくして考えてみましょう。協力者が多いほど、安心して船出ができます。売り先や相談先として、地域のJAも頼もしいパートナーになってくれます。

 

Why●なぜ農業をしたいの?

農家というと自給自足できるイメージですが、お金を稼げないと食べていけないのが現実です。想いだけでは生活できないのは事実ですが、想いがないと営農できないということも、また事実です。理由・想いにあたる部分を今一度確認しておくことで、この先の選択する必要があった時、迷わず進むことができるはずです。有機農業をしたい、地域とのつながりを大事にしたい、きちんと経営ベースで成功したい、など譲れないポイントは持っておきたいものです。

 

How●農地、技術、具体的にどうする?

どうやって技術を身につけるのか、どうやって農地を確保するのか。具体的な部分については、コミュニケーションをしっかりと行い、情報収集をしないといけません。経験を持った人の行動を見て学んで、自分なりに失敗を恐れず挑戦することが大事になってきます。本や座学より、やはり実地で覚えたことは、その後の助けになります。

 

How much●お金の準備、経営計画は?

あなたはいくらのお金を用意できるのか?これがとりわけ重要です。耕作機、軽トラック、苗を置く物置、肥料、農薬、小さな農機具、消耗品、ざっとリストアップするだけでも、初期投資に必要なものがたくさんあります。収穫前に台風など災害に遭った場合、蓄えがないと生活が成り立ちません。それに備えて保険に入るなどリスク回避にも対応が必要です。

 

森田さんによると、安心して農業を始めるには初期投資とは別に生活費として最低でも300万円(×家族の人数)の自己資金を用意しておきたいとのこと。就農してすぐは収入が安定しないことが多く、無収入になるリスクに備えて生活費を確保しておくべきです。十分な開業資金がない場合、まず農業法人に就職してお金を貯めるという方法もおすすめです。給料をもらいながら農業の技術を学べる上、先輩農家とのつながりもできて、いざ就農というときには協力してもらえることもあります。

 

その他、行政のサポートを活用して、補助金等で資金計画を行うことも可能ですが、森田さんは、自分で成功できる状態にしてから借りることを勧めます。こういった補助金のこともしっかりと情報収集し、相談して決めることが大切です。

 

■いよいよ行動へ!相談先に行政とJAは外せない!

5W2Hを考えることで、自分がやりたい農業のカタチが少しはっきりしてきたでしょうか。

そうなればあとは行動あるのみです!

 

情報収集の面では、リスクをどれだけ減らせるか、メリット・デメリットも把握してリサーチを徹底して準備していく。いくつかのパターンを見て、学んで、最終的に自分でこれだと思うことを選択していきます。

 

具体的に考える段階へと進んだ時にどう行動するかが重要で、森田さんによると「やはりいろいろと相談できるのは市役所等の行政窓口と地域のJA」とのこと。府内のエリアによってはJAと行政が連携して新規就農者の支援を行っているところもあるとのことで、就農を具体化するには必ず足を運びたい相談窓口です。

 

さらに、農業大学校長時代には学生に必ず行くよう勧めていたという農業の就職フェア、「新・農業人フェア」も情報収集の有効な機会となります。大阪では年1回開催され、厚生労働省・農林水産省が後援する国内最大級のイベントで、各自治体や大手農業法人などが参加してリアルに農業の今を知ることができます。

 

●オススメ新規就農情報サイト パート1

◇「大阪農業つなぐセンター」

https://www.pref.osaka.lg.jp/nosei/soudan/index.html

 

◇「新・農業人フェア」

https://www.shin-nogyojin-yumex.com/

 

■農業大学校を活用する

農業大学校では、3回入門コースから週一回の短期プロ農家コース、2年間のフル授業まで、学びたい人の様々なニーズに沿ったプログラムが用意されています。農業に興味を持ったら、ぜひ検討してみましょう。新たな可能性が広がる場となるかもしれません。

 

●オススメ新規就農情報サイト パート2

◇農業大学校

http://www.kannousuiken-osaka.or.jp/noudai/

 

■まとめ

JA大阪中央会 大阪農業振興サポートセンター アグリスペシャリスト森田さんが教えてくれた新規就農を成功させるコツ、いかがでしたか? ヒントは見つかったでしょうか。なにかのきっかけで農業に興味を持ったら、ちょっと先へ進めてみませんか。大変さを知っても楽しそうと思えたら、それは新規就農の準備の最初の一歩です。ぜひ、青空の下で農業の奥深さを感じてください。

 

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