丸福珈琲店とJAグループ大阪がコラボした「大阪産イチゴフェア」が3月1日(水)から1か月間、丸福珈琲店Good Old & New Edition(心斎橋PARCO)限定で開催されます。本フェアにいちごを提供する農家さんの想いやこだわりをぜひ知っていただきたい!ということで、東大阪市にある加藤農園を訪れました。
■菊農家からいちご農家への転身について
東大阪市の中心部からほど近いところにある加藤農園では、ハウス3棟でいちごを栽培しています。「美味しいいちごを探しているんです」と話す加藤さん。「恋みのり」「紅ほっぺ」「かおり野」「おいCベリー」の主力品種から「星の煌めき」「あまクイーン」など各地の新品種まで、2段にした高設栽培で幅広い種類のいちごを育てて、味や香りの違いを研究中です。
元々、菊の花を栽培していた父を手伝うために脱サラして農業を始めた加藤さんが、いちご農家になったのは10年ほど前。菊の花は輸入品が増えてきたことから、次第に今後の展望を考えるようになりました。そんな時、子どもたちと訪れたいちご狩りで完熟いちごの美味しさに驚いたのがきっかけで、いちごの栽培に興味を持つように。「ちょうどJAグリーン大阪農産物直売所『フレッシュ・クラブ』がオープンしたこともあり、売り先の確保も可能だと考え、いちご農家に転換しました」と、いきさつを教えてくれました。
■試行錯誤の日々や台風被害を乗り越えて
実際の栽培ではインターネットなどの情報収集も駆使しながら試行錯誤。高設で2段にして日光をうまく取り込むように工夫したり、いちごの品種の個性に合わせた環境を整えたり、美味しいいちごづくりに取り組みました。当初は病害虫の対応など苦戦することも多かったと振り返りますが、年々技術向上に努めてきました。
収穫期は毎日欠かさず届けているというJAグリーン大阪の朝市とフレッシュ・クラブへの出荷を中心に、安定して出荷できるようになり、次の展開として、いちご狩りもできるように準備を進めていた加藤さんでしたが、2018年に関西を直撃した台風に襲われ、ハウスが全壊するという試練に見舞われました。しかし、美味しいいちごづくりへの情熱を失わず、国やJAから資金を調達して見事再建。「新しいハウスは節約のためにほぼ自分で建てました」と話し、現在の多品種を栽培する環境づくりを整えました。
■こだわり抜いたいちごと日々進化を続ける環境
「シーズン中は朝5時に起きて収穫してパック詰め、ラベル貼りを行います。朝市や直売所に納品し、直接お客様と話ができるのも楽しみのひとつですね」。完熟いちごの美味しさにこだわり、3つのハウスを1日ごとにローテーションして収穫します。お客様から美味しかったと声をかけてもらうことも多く、「香りの強さなど、地方から出荷されてスーパーに並ぶいちごとの差を感じていただけるはず」と手塩にかけたいちごの品質に自信を見せます。
12月下旬から始めて、5〜6月まで収穫を続けている中で、果肉がやわらかめのもの、かためのものなど収穫時期に合わせて品種をチョイスしたり、受粉のために飼育するミツバチに加えて医療用のハエを使用したり、どんどん挑戦を続けている加藤さん。来年には駐車場なども整えて、本格的にいちご狩りができるようにしたいと次の展開について語ってくれました。また、いちごの収穫後にメロンを栽培することで、年間を通じた農園運営を進めています。
ミツバチの巣箱をビニールハウス内に設置
■今後の展望について
今回の丸福珈琲店とのコラボ企画への参加も、JAからの熱心なオファーを受けるかたちでチャレンジを決意。売り先が増えるメリットがある一方で、確かな品質のものを安定して出荷する責任もあり、バランスを図りながら期待に応えたいと語ってくれました。
「食卓に美味しいフルーツときれいな花があれば、家族みんな笑顔になれますよね」。その情景を想い描きながら更なるパワーアップに向けて、いちごとメロンに加えて、アボカド、マンゴーの試験栽培や菊を中心とした花の栽培を本格的に再開するなど、さらなる夢に向かう加藤さん。この春もキラキラ輝くいちごが、多くの人を笑顔にします。
[取材ご協力先]
加藤農園【東大阪市・八尾市】
加藤 正隆
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