野菜を使っておいしく健康に!栄養素をしっかり受け取る3つの料理法とは
健康維持のためにも、普段から野菜はしっかり食べておきたいものです。野菜にはビタミンや食物繊維などの栄養素が含まれており、そのうえ、低カロリーでヘルシーなのもうれしいところ。とはいえ、調理法によっては、せっかくの栄養素が減ってしまうことがあります。野菜の良さを余すことなく取り入れるためにも、料理中に意識しておきたい3つのポイントをご紹介しましょう。
野菜料理の基本は「煮る、焼く、蒸す」
野菜を調理する方法は、大きく3つ。ゆで料理を含む「煮る」、揚げ物を含む「焼く」、そして、蒸気を使って火を通す「蒸す」です。同じ野菜でもレシピによって調理法が変わりますが、同時に栄養素の受け取り方も異なります。3つの調理法それぞれのメリット、デメリットを見てみましょう。
スープを飲み干せ!「煮る」の役割
ほうれん草のようにアクが強い野菜の場合、ゆでることでシュウ酸のような苦味やえぐみが薄れます。また、ブロッコリーのように芯(しん)が固い野菜は、柔らかくかみやすいようにゆでてから調味することが多いはずです。
このように「煮る」ことは、生では食べづらい野菜にしっかりと火を通し、食べやすくするのが一番のメリットといえます。一方で、ゆですぎてしまうと栄養素が水に溶けだしてしまうのが難点です。例えば、野菜に多いとされるビタミンCは、水に溶けだす性質を持つ水溶性ビタミンで、ゆでこぼしてしまうと、栄養素が減ってしまいます。
そこでおすすめしたいのが、スープまで飲める煮込み料理を作ること。逆に、濃い味でスープを飲まないようなレシピでは、長時間煮込みすぎないようにするとよいでしょう。おでんのように煮込めば煮込むほど美味しくなる料理もありますが、栄養素を意識するなら、スープまでしっかり飲み干すように意識したいですね。
脂溶性のビタミンは油で炒める「焼く」のメリット
ビタミンには水溶性のものと、油に溶け出す脂溶性のものがあり、体内への吸収のされ方が異なります。ビタミンAやビタミンEといった脂溶性ビタミンを受け取るためには、油を使うことで、その良さが発揮されることを覚えておきましょう。例えば、にんじんに多く含まれるβカロチン(ビタミンA前駆物質)は、炒めるほうが効率的に栄養素を摂取できるというわけです。ただし、油を使いすぎるとカロリーが高くなってしまうことや、火が通りすぎて素材の味が感じにくいというデメリットもあります。
野菜の万能調理法「蒸す」のすごさ
素材そのものの味や栄養素をしっかり受け取りたいのなら、蒸し料理が一番。蒸気をつかって熱を通すことで、その栄養素が流れることなく、内側に残ります。ただし、葉菜類については、注意が必要です。水気の多い野菜を蒸し過ぎると、水分と一緒に水溶性ビタミンが流れてしまいます。素材に合わせた蒸し時間を意識しながら、おいしくいただきましょう。
野菜炒めをつくるなら、にんじんを最初に炒めよう!
野菜料理としても定番なのが、野菜炒めでしょう。さまざまな種類の野菜を一度に食べることができ、ボリュームもあるので、ご飯のおかずとしても最適です。一般的には、火が通りにくいものから炒める方も多いかもしれませんが、実はフライパンに入れる順番によっても、摂取できる栄養素の量が異なります。
油を使った野菜料理では、脂溶性ビタミンを多く含むものを最初に入れることで、他の具材にもその栄養素が行き渡ります。野菜炒めをつくるなら、肉の前にまずはにんじんに軽く火を通し、そのあとで、肉や玉ねぎ、キャベツといったお好みの野菜を入れるとよいでしょう。
「大阪産の野菜さん」として親しまれる金時人参を使えば、香りづけにもなり風味も良くなります。いつもの野菜炒めとは一味違う美味しさを感じることでしょう。
食物繊維が多い固い野菜の扱い方
野菜に含まれる栄養素のなかでも、大きなメリットと言える食物繊維。便通にはたらきかけてくれることから、お腹ケアにも役立つとされています。しかし、食物繊維が豊富とされる野菜は固く、かみにくいものも少なくありません。しっかりゆでたり、煮込んだりすれば柔らかくなりますが、スープのようにゆで汁まですべて飲める調理以外は、その他の栄養素が流れ出てしまうのが残念なところ。
例えば、ゴボウのようにかみ応えがある食材は、豚汁に入れることでスープまで飲める調理をしたり、炊き込みご飯にしてじっくり蒸気で火を通したりするといった工夫をすることで、素材に含まれる栄養素がしっかり取り込めるようになります。
また、時間をかけてじっくり煮込む余裕はないけれど、固い根菜を上手に調理したいと思ったら、若芽のものを選ぶのがおすすめです。大阪府の豊能町高山地区で栽培されている、なにわの伝統野菜・高山牛蒡(たかやまごぼう)は、さっと煮るだけでも柔らかく、筋を感じさせないという特徴があります。同様に、大阪府八尾市を中心に栽培される若ゴボウなら、柔らかい葉の部分を含め、さっと炒めるだけでも口当たりが良い調理ができます。そのときどきのレシピに合わせて、素材を変えてみるのもよいでしょう。
素材を生かす料理方法を選んで
身体によいとされる野菜の栄養分も、調理法によって受け取れる量が変わります。できるだけ素材を生かす調理方法を取り入れれば、より一層、健康を意識した野菜生活が楽しめるのではないでしょうか? 調理法を工夫し、素材を選びながら、野菜の多い食事を続けたいですね。