なにわ特産品 生産者レポート【柏原ぶどう(デラウェア)編】
今や大阪産果物を代表する柏原ぶどう。その歴史は古く、今から280年以上前の宝永3年(1706年)頃にさかのぼるといわれています。大阪府は戦前にぶどうの栽培面積が全国1位となるほどぶどう栽培が盛んな地域です。その中でも、最もポピュラーで親しまれている品種がデラウェアであり、今でも全国3位の収穫量を誇ります。柏原市地域の山間部はデラウェアの甘さや張り、魅力を引き出すのに最適な土地です。今回は柏原市で、柏原ぶどうを生産されている坊下史也さんをご紹介いたします。
<6月から旬を迎えるデラウェア>
坊下さんは就農5年目。ハウス及び露地で柏原ぶどうを10種類程度栽培されています。品種ごとに6月から9月初旬にかけて収穫期を迎えます。
「ぶどう栽培は経験が大事」と話す坊下さん。ぶどうは元々種があるため、種なしにするためにジベレリン処理を行います。ジベレリン処理の適期を把握するためには、毎日葉の枚数やつぼみの生育状態の確認を念入りに行うことが大切で、その中でも美味しいぶどうを作るには「土づくりや剪定作業がとても重要」と話していただきました。
<ぶどうの生育状況を確認する坊下さん>
ジベレリン処理とは、「ジベレリン」という植物成長調整剤に花房を浸漬する作業で、1回目の処理でぶどうの種を無くし、2回目の処理で実を大きくします。ハウス栽培の場合、1花房毎の生育スピードが違うため、花房によって時期を見極め、ジベレリン処理をしています。1日処理が前後することで果房の長さや実の付き方が異なるため、非常に神経を使う作業です。
剪定作業とは、枝を合理的に配置することで、棚空間を無駄なく利用し、太陽光線を最大限活用することです。必要以上の枝を切り落とすことにより、果実の成り過ぎが避けられ、樹体の寿命が長くなることでぶどうはより甘くなります。
こうして手間をかけた坊下さんのぶどうは、出荷組合を通じて市場に出荷したり、自園直売所「㋖農園」にて販売しています。「消費地が近いのが大阪農業の強みであり、その日に採れたぶどうを新鮮なうちに味わってもらえることが嬉しいです。子供からお年寄りの方まで皆に喜んでもらえる美味しいぶどうをこれからも作っていきたい」と話して下さいました。