父はマンゴー、息子はイチゴ狩りで！責任分担が親子農業承継のカギ！

2024年 3月 5日

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コラム

父はマンゴー、息子はイチゴ狩りで！責任分担が親子農業承継のカギ！

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茨木市東福井の道路沿いで目を引くイチゴ狩りとマンゴー直売の看板。ここ、小川農園では、父はマンゴー、息子はイチゴと分担して農業を展開しています。この春から始めたイチゴ狩りを中心に、お話を伺いました。

■３０歳で農家を継ぐ決意！

「イチゴ狩り」と書かれた真新しいノボリがはためき、整備された駐車場と清潔さが際立つハウスが印象的な小川農園。2024年1月にグランドオープンしたばかりですが、茨木市内では他にない食べ放題タイプの新しいイチゴ狩りスポットとして話題になっていて、平日にもかかわらず、ネットで調べたというお客様が市内外から足を運んでいました。

「おかげさまで土日祝は満員御礼で、終了予定のＧＷまで予約が埋まっている状態です」と話してくれたのは、イチゴを担当する息子の小川大輝さん。代々、米をつくってきた農家で育ち、数年前に父の範久さんが始めたマンゴー栽培の手伝いもするなど、農業は身近にあるものでした。

会社勤めをする中でも、「いずれ農業を継いでいくのは自分」という意識があったという大輝さんは、2年前に30歳で仕事を辞めて就農することを決意。範久さんは「農業はサラリーマンよりしんどいぞ」と3度くらい確認したそうですが、しっかりと意志を持って本格的に農業をスタートしました。

■おいしいイチゴに感動したのが原点

第一歩はお父さんのススメもあり、近くに研修場所があった「大阪産（もん）スタートアカデミー」への応募。大阪府とJAグループ大阪が主体となって、実践的な栽培研修と座学研修で就農に必要な知識と技術の習得を目指すプログラムでの学びから、本格的に農業への取り組みを始めました。

「イチゴの栽培を見るのは初めてだったんですが、同じ品種でも苗に個性があったりして、成長を見るのが楽しいと感じました」。スタートアカデミーでは知識や技術だけでなく、その後のサポートや頼れる仲間など多くのものを得られたと振り返ります。

そして、イチゴ農家への道を決定づけたのが、研修中に食べた「おいCベリー」でした。食べたことがないくらい美味しくて、ぜったいイチゴをやりたいと思ったと話す大輝さん。その感動が、イチゴ狩りを運営する原点となっています。

■喜んでもらえるイチゴ農園づくりを

イチゴ狩りのために新しく建てたハウスは広々としており、高設栽培でとても清潔な空間です。受粉のためのマルハナバチが飛び交う中、おいCベリーをはじめ、恋みのり、あきひめ、紅ほっぺ、とちおとめの5種類を育てています。肥料、温度、虫の害など、たくさんの苗の管理は大変ですが、栽培システムの導入やコンサルタント支援などを受けて、安定した営業ができるよう取り組んでいます。

「知り合い向けのプレオープンで得た意見を取り入れて子ども向けにイラストを柱に貼ったんですよ」。さらに、事前説明は必要なことを手短に伝えたり、テーブルを置いて快適に過ごせる環境を用意したり、前職のサービス業で培った経験も活かしてお客様に喜んでもらえるイチゴ農園づくりを進める大輝さん。

■「美味しい！また来たい」を励みに

この日、小川農園を訪れていたのは年配のご夫婦、若いカップル、お子さま連れの家族とさまざまな年代のお客様。思い思いに色づいたイチゴを採り、ほおばっては笑顔になっていました。

少しお話を伺ってみると、「ネットで隣りの市に食べ放題のイチゴ狩りができたと知って、予約しました」「種類ごとにいろんな味があって楽しめました」「おいCベリーが美味しかった！」「対応が親切で、また来たいと思いました」など、どなたからも大好評！「味にも甘みにも自信があります」という大輝さんが育てたイチゴは、味わった人をどんどん笑顔にしていきます。

「今年は様子見の1年です」。手応えを感じながらも、1年目は品種や生育状況、減り具合、実り具合、受け入れ人数など、来年以降の営業に備えた情報収集も重要視しています。

■農業承継の秘訣は責任分担

イチゴ狩りシーズン終了後には田植えシーズンとなり、夏場はマンゴーを栽培し、秋になればイチゴ狩りに向けて再稼働というサイクルが待っています。「身内で一緒に農業をする場合は、分担したほうがいいとアドバイスしてもらったので」と、作業は共同で行っても、それぞれの担当部門に口出しはNGというルール。失敗しても責任は自分です。この切り分けが、スムーズな農業承継の秘訣のようです。

これからピークを迎えるイチゴ狩りシーズン。初年度の正念場で、親子が協力しながら今後の小川農園の発展に向けて忙しい日々を送ります。