大阪都市農業情報ポータルサイト 大阪で農業っておもろいやん!

トップ > お知らせ・ニュース > 都市型農業を継承した夫婦、3回目の稲刈りに密着!

お知らせ・ニュース記事

LINEで送る
Pocket

都市型農業を継承した夫婦、3回目の稲刈りに密着!

米の価格高騰や備蓄米販売など、お米にまつわるニュースが世の中の注目を集め、米作りに対する関心も高まっています。

今回は、都市型農業を継承した小川さんご夫妻の3回目の稲刈りに密着。ご主人の定年を機に専業農家としてスタートしたお二人にお話を伺いました。

 

[Profile]

寝屋川で手広く農業を営んでいた実家を継承した奥さま。ご主人の定年を機に専業農家へ転身し、現在は2反の田んぼでの米作りと、少量多品種の野菜栽培に取り組んでいます。JA九個荘の農業研究クラブにも参加し、地域の農家との交流を深めながら、自分たちなりの都市型農業を実践中。

 

■継承した農地で3回目の稲刋り

よく晴れた日の午後、周囲を住宅に囲まれた圃場では稲穂が風に揺れ、コンバインがスタンバイ。まさに稲刈りが始まろうとしています。

「数軒の親類とともに広い農地で米作りを行っていたのですが、父が亡くなり、私が継承することになりました。今年で稲刈りは3回目です」と話す奥さまの小川さん。

ご夫婦で週末ごとに農作業を手伝っていた経験を基に、隣接する農地でとうもろこしや枝豆など少量多品種の野菜類を栽培・出荷しています。

 

■JA九個荘の農業研究クラブで地域農家と交流

米作りはご主人がメインで行い、野菜は奥さまの担当。朝一番に出荷先まで届けています。

「20名ほどが在籍するJA九個荘の農業研究クラブに参加していて、そこで地域の農家との交流が生まれています。最高齢は92歳で、自分たちはまだ若手なんですよ」と話す奥さま。

出来のいい野菜を作っている人にコツを聞くこともあるそうで、「自宅用とは違って、お客さんに喜んでもらえるとうれしいですね。もっといいものを作ろうというやりがいにつながっています」と語ってくれました。

 

■経験を糧に、課題を乗り越える

収穫前の稲穂を狙うスズメの鳥害を防ぐために田んぼに張っていた網が台風で飛ばされたり、出荷直前のとうもろこしをアライグマに全部食べられたりと、トラブルも経験したご夫妻。

「市の補助があるという情報を仕入れて、アライグマの捕獲機を設置して退治したんですよ」。市役所などで情報を収集し、行動することで対処したとのこと。

作業場の黒板には、数年前にウンカが発生してお米の収穫が減少したことが記されていて、一つひとつの経験が糧となっていることがわかります。

 

[補足]ウンカとは?

稲の茎から汁を吸って弱らせ、「坪枯れ」などの被害を引き起こす代表的な害虫です。

 

■コンバインはオークションで落札!

「お米は家族と親類が1年で食べられるくらいの量を栽培しています。以前は天日干しでしたが、現在はコンバインで収穫し、乾燥機にかけて玄米で保管しています」と、自分たちなりの米作りを進めています。

稲刈りの主役であるコンバインは、なんとご主人がオークションサイトで落札して購入したものだとか。シンプルな旧型機種を選び、ご自身でメンテナンスも手がけているというご主人。収穫時期のよき相棒となっています。

今年は初めて奥さまもコンバイン操作に挑戦しました。まだ練習中とのことでしたが、コーナーワークもスムーズで、丹精込めて育てたお米を順調に刈り取っていました。

 

■小川さん家の稲刈り手順

・コンバインで稲刈り

事前に周囲と真ん中を少し刈っておくと作業がしやすい

 

・コンバインから乾燥機へ

お手製の装置で収穫した米を乾燥機へ移す

 

・水分量14.5%に設定した乾燥機で1~3日送風して乾燥

水分量が多いと発芽して品質が低下するので要注意!

 

・乾燥が完了したら1日おいて常温に戻す

温度が高いままだと蒸れてしまうので冷ます

 

・もみすり機で玄米にして保管用袋に入れる

もみすりでできたもみ殻は農作業で有効活用

 

・保冷庫で保管し、必要な時に必要な分だけ精米する

適正な保存環境でおいしいお米をキープ!

 

■お米の収穫風景から見える農業の未来のかたち

継承した圃場で兼業農家としてスタートし、専業となった今、「お米の収穫も3回目になり、農業従事者としての責任も感じています」と話す奥さま。

一方、ネットオークションで旧型のコンバインを購入し、自身でメンテナンスを行い、乾燥機へ米を送る装置も手作りするなど、コスト削減を実現しているご主人。これから農業を始めたいけれど農機具や設備への投資が不安という人たちへのヒントになりそうです。

「子どもたちは遠方で暮らしているので、将来はJAさんに相談して貸し農園にするのもいいかなと考えています」。代々の農地を継承し、自分たちなりの工夫で農業に取り組み、さらにその先の展望にも心を馳せているご夫妻。都市部で作られるお米の収穫風景から、農業の未来の一つのかたちが見えたようでした。

LINEで送る
Pocket

農業を始める方へ

スペシャルコンテンツ