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安売りはしない、品質でいく。オール有機、低温貯蔵。

南昇平さん

( みなみしょうへい / 利左ヱ門ファーム )

  • 泉南
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上之郷で6代続く、利左ヱ門ファーム

泉佐野市上之郷(かみのごう)で代々農業を営む利左ヱ門ファームの南昇平さん(44)を訪ねた。折しもタマネギの収穫シーズンだった。「利左ヱ門」とは昇平さんから数えて5代前、「ひぃひぃひぃ爺さん」の名前。それが屋号となったものだ。

何でもつくる、土からつくる

利左ヱ門ファームでは、米、タマネギ、キャベツ、ハクサイ、サツマイモなどのほか、養液栽培でミニトマトや軟弱野菜も栽培している。田植えの受託もしている。田植えや収穫の作業が時期をずらしてできるよう、アキタコマチ、キヌヒカリ、もち米や奥手のニコマルなど、多品種の米を作付している。

シートの下では、田植えを待つ苗がすくすくと育っていた。農場内におかれたドラム缶では、籾殻(もみがら)くん炭 *を製造する。多角経営だ。10年ほど前には、大阪産(おおさかもん)の原材料を使った食品の商品化に取り組んでいたコンビニとのコラボレーションで、利左ヱ門ファームのサツマイモを提供したこともある。

*籾殻くん炭とは、精米時に出る米の外皮(籾殻)を炭化させた天然の土壌改良資材。

中でもジャガイモ、オール有機

就農15年目の昇平さんがいま、力を入れて栽培しているのは、ジャガイモである。種芋の植え付けから収穫までの栽培期間中、農薬と化学肥料を全く使用しない。有機質肥料で土づくりした畑で育て、「大阪エコ農産物」の認定を受ける。

大阪エコ農産物、最も厳しい基準に挑戦

大阪エコ農産物とは、大阪府が「エコ」のお墨付きを与える農産物。農薬の使用回数と化学肥料の使用量を通常の半分以下に抑えて栽培した農産物が認定される。

農水省が定める特別栽培農産物のガイドライン基準に準拠しつつ、大阪府が独自の基準を設けている。認証は3段階。「農薬・化学肥料5割減」、「農薬・化学肥料(チッソ)不使用」、「農薬・化学肥料不使用」である。詳しい栽培基準については大阪府のホームページ、エコ農産物栽培基準の項で見ることができる。

化学合成農薬・化学肥料、不使用でいく

ジャガイモの場合、農薬の使用回数は0回、化学肥料上限使用量はチッソ成分が10アールあたり7キロまで、リン酸成分は10アールあたり4キロ(目標値)まで使用可能とされる。昇平さんは、「オール有機」。有機質肥料で土づくりを行い、農薬と化学肥料は一切使用しない。

花を摘み、害虫防除

ジャガイモ畑へ、連れて行ってもらった。2畝だけ「キタアカリ」と「アンデス」が植わっていた。残りの畝はすべて「メークイン」。メークインという名前は、原種がイギリスで「May Queen」と呼ばれていたことが由来だ。形は俵型で細長く、中は黄色で粘りがある。煮崩れしにくいので、カレーや肉じゃがなどの煮込み料理に最適。

取材当日は、ちょうどジャガイモの花が満開。ジャガイモは、伸びた茎の先に幾つかの花を寄り添うようにして咲かせる。メークインの花は、紫色でとても可愛い。その花を、昇平さんは片っ端から摘みとっていく。畑のすべてのジャガイモの花を摘みとるのは、気が遠くなりそうな作業であるが、これが病虫害の防除になる。

「花が咲いていると、蝶やその他の虫が寄ってくるでしょう。卵を産み付けられ、幼虫が孵ったら葉っぱを食べられてしまいます。だから、花はぜんぶ摘みとるんです」。

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