もとシェフ、自家野菜の人気フレンチ
フレンチレストラン「はんなり」は茨木市駅前にある人気店だったが、6年前に惜しまれつつも閉店。自家野菜を使った料理が美味しいと評判だった。その、はんなりの前身「ボンヌブーシュ」(箕面市)から長年にわたってオーナーシェフを務めていたのが西畑俊一さん(66歳)である。
「以前、市販の食材を使って料理した時に、農薬の臭いや味を感じてしまって。うちには農地がありましたのでね、それなら農薬を使わずに自分で作ろうと思って。買うよりも作った野菜のほうが断然、美味しかったんです」。
レストラン経営時は、朝5時起き。俊一さんは、畑作業をしてからレストランに出向き、とりたての野菜で仕込みをしていた。現在、シェフは引退し、季節の野菜と米を露地で栽培している。
少量多品目、旬の野菜づくり
取材当日、畑に植わっていたのは、モロッコインゲン、ツルナシインゲン、黒大豆、サツマイモ、ミニトマト、オクラ(エメラルド、六角、八角、白)、春ウコン、秋ウコン、トウモロコシ、アーティチョーク、エンダイブなど。どれも、JA茨木市の農産物直売所「みしま館」で販売している。
レモングラスは、アロマオイルへ
道路と畑の間には、垣根のごとく、レモングラスがずらり。「ハーブティーや、みじん切りにして60度に温めたオイルに漬けてアロマハーブオイルをつくるのがオススメ」という俊一さん。さすが、もとフレンチシェフである。レモングラスは、ニラやアスパラガスのように株分けして増やしてきた。
自家用や後述する学校農園用のトマトは、購入苗を植え付けたあと、葉の付け根に生える脇芽を取って、挿し芽をして育てたもの。なかなか経済的である。
小、中、高生へ、食農指導
畑から徒歩8分のところに追手門学院がある。その中学生と高校生が農業体験できるスペースとして、俊一さんは畑の一角を提供している。「食農教育にも力をいれていることが、学校のPRの一つになるようです。ご近所ですしね、協力できることは喜んでやりますよ」。
畑のすぐ近くにはまた、太田小学校がある。校内に設置された小さな田んぼで、小学5年生(約130人)が田植えと稲刈りを体験し、観察記録をつけている。
俊一さんは、体験当日の指導のほか、稲の管理や水の調整などを引き受けている。「太田小学校の田んぼは砂地なので、すぐに水がぬけてしまうんです。毎日、水の管理をしにきています」。学校農園を指導し、管理してくれる農家が身近にいることがいかに有り難いかがわかる。