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「ええで、まかしとけ」よろず農家の手助けのプロ。

西田雄一郎さん

( にしだゆういちろう / 西田ヤ )

  • 中河内
  • JAグリーン大阪
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農業オペレーターの「休宝田活動」

待ち合わせは、田んぼ。横道に、コンバインを積んだ大きなトラックで颯爽と現れた西田雄一郎さん(38)。

場所は、東大阪市池島。田んぼの持ち主は雄一郎さんの本日のクライアント、芝田正明さん(75)だ。米の乾燥機が壊れ、急遽、稲刈りから乾燥籾すりまでを雄一郎さんに依頼した。雄一郎さんのコンバインの扱いは、さすが手助けのプロ。芝田さんの細やかなサポートも相まって、稲刈りはあっという間に終了。一同、一安心だ。

「困った時に助けてくれる。雄一郎さんのことは、ここらの農家はみんな知っていますよ」。元「JAグリーン大阪」の職員で営農相談員だった雄一郎さん。管内の農家とは、ほぼ顔なじみである。草刈りから、耕耘、田植え、稲刈りまで、農家が自分で管理できなくなった作業を代行する、それが農業オペレーターだ。困った農家さんの手助けが、仕事。

都市部にも、これ以上続けられそうにないと、営農を断念する農家が年々増えている。高齢化や怪我、病気など身体の問題、農業機械の故障やご近所さんとの軋轢など、理由は様々だ。農地は、ちょっと目を離しただけで荒れ果てる。「農地の所有者が、再び農業を始めたいと思ったときに、すぐに始められるよう、それまで農地のお守りをしているんです」。

休耕田になりかけの農地を、宝物を育むもとの「ええ土」の状態に戻し、守る活動を、雄一郎さんは、「休宝田活動」と呼んでいる。「お守りを終えて、息を吹き返した農地を前にほっとした顔の依頼者を目にするたび、お手伝いできてよかったなぁと思えます」。

農業オペレーターになろうと思った瞬間

雄一郎さんは、東大阪市の農家「西田ヤ」の四代目。田んぼ1.5 ヘクタール、畑50アールで米と野菜を栽培している。JA 職員だった頃、父親が体調をくずし、雄一郎さんは兼業農家に転身。しかし、土日にも仕事がはいり、農作業は計画どおりに捗らず、田畑は荒れ果てていくばかり。「誰か、せめて草刈りだけでも手伝ってくれる人がいたらいいのに(泣)」

そんなとき、寝屋川で農業を営む叔父さんが登場。「ええで、まかしとけ。やっといたるわ」その言葉をきいた瞬間、モヤモヤがぱぁっと晴れ、叔父さんは農家のお助けヒーローに見えた。この先、農業オペレーターが必要になる。困っている農家を手助けしていく仕事が求められるようになると確信した。

カラフル野菜「Cawachi-no BENNIE-J」

赤ジャガイモ、紫ダイコン、紅ダイコン、紅白ダイコン(ラディッシュ)など、雄一郎さんが栽培するのは、カラフルで珍しい野菜が多い。JA職員時代の10 年間、東大阪市内の様々な農家と出会い、そこで培ってきた知識や経験から、自分が農家になった時に、どのような農業経営をすべきかを考えてきた結果である。

赤ジャガイモには、河内産をアピールする「Cawachi-no BENNIE-J」というブランド名をつけた。J ポップユニットの名前のパロディだ。「K」awachi を「C」awachi にしているところも雄一郎さんのセンス。

誰でもできる「放置プレイ(!?)栽培」

農業オペレーターとしてあちこちの田畑に出向くことの多い雄一郎さんは毎日、自分の田畑を見に行けない。そのため、ある程度ほったらかしていてもたくましく育ってくれる野菜を作付けしている。「手間暇をかけていられないんです。いわゆる放置プレイです(笑)」

お客さまと直接コンタクトをとる術

出荷先は、JAグリーン大阪の直売所フレッシュクラブと朝市。旬の時期には、同じような野菜が並ぶなか、雄一郎さんのカラフル野菜は売り場でも目を惹く。収穫したての野菜を陳列していると買い物客が話しかけてくる。「それ、兄ちゃんがつくってるん? めっちゃ綺麗な色やな。どないして食べたらええん?」顧客に顔を覚えてもらい、直接、話す機会をつくろうとするのが雄一郎さんの術。

ちなみに、赤ジャガイモは、可愛いピンク色を活かして、ポテトサラダやポテトチップスにするのがおすすめ。紫ダイコンはピクルスに。酸味のあるものをかけると紫からピンクに変化する様は、まるで魔法。雄一郎さんは、「マジック大根」と呼んでいる。

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