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トップ > お知らせ・ニュース > 放送作家から新規就農して10年。有機農業でまちづくりをめざす農家!

お知らせ・ニュース記事

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「放送作家時代、楽しそうに見えた農業は、楽しかった」というタイトルの記事から4年、能勢町での農家生活は10年を経過した成田ふぁーむ代表の成田周平さんの今をご紹介します。

前回の記事はこちらから:https://omoroiyan-ja.osaka/yaruyan/farmers/2565/

 

■有機栽培による多品種少量栽培で10年

彼岸花が咲き始めた能勢の里で、お話を聞かせてくれた成田さん。2010年に放送作家から農家へ転身し、2年間は研修のために北海道など各地へ。その後、能勢町で有機栽培による多品種少量栽培を行う『成田ふぁーむ』を立ち上げました。

 

「最初は軌道に乗せることに一生懸命で、自分のことしか考えられなかったですね」と、独立当初を振り返る成田さん。10年の節目を超えた今、コミュニティもできて、町のことや農業の未来のことなどを考える余裕ができてきたと語ります。

 

 

■農業委員として地域に貢献

地元の消防団に参加するなど、築いてきた人間関係の中で数年前には農業委員にも選出されました。人口が減少している能勢町で、農業を通じた活性化に取り組む役割も担っています。

 

「農家が減って農地が荒れると、地域全体に影響が出ます。環境づくりがとても重要になってくるんです」。行政に働きかけるなど、仲間とともに問題を解決するために動いている成田さんは、今や地域になくてはならない存在になっています。

 

 

■「大阪産スタートアカデミー」で実践的な指導を

成田さんが農業へのチャレンジとして行っているのが、新規就農者向けの「大阪産スタートアカデミー」の実習先受け入れ対応。20代~60代まで幅広い人が参加しています。

 

「有機農業をしたいという人は増えています。技術面だけでなくメンタル面や地域との連携など、新規就農希望者に教える部分は広くあると思っています」と、自身の経験を通じて、より実践的な指導を心がけています。

 

 

■心が折れかけた2度の災害を乗り越えて

「同じ毎日がない農業は飽きることなく、面白さがある」という成田さんの心を沈ませたのが、2018年の2度の災害です。7月に豪雨、9月には台風で川が氾濫し、ビニールハウス7棟が水没して無収入に。

 

[当時の爪痕が今も残る。ビニールハウスが水没し、乾いた後も泥が残った状態となっている。]

そんな時、助けとなる情報を提供してくれたのは、JAグループ大阪と大阪府が主催する「大阪アグリアカデミア」に参加した時に知り合いになった先輩農家さんたち。農業経営について専門家から知識を得るとともに、名だたる大規模農家との人脈も増強していきました。前に向かう強い気持ちは、新規就農者に必要なスキルのようです。

 

 

■CSA(地域支援型農業)でNo-1グランプリ受賞!

「有機栽培による多品種少量生産というスタイルは大きく変わっていませんが、販売方法には変化がありました」。実は、第4回おおさかNo-1グランプリにおいて、「CSA(地域支援型農業)で繋がろう! 能勢町農業者と消費者のココロを密に」をテーマに発表してグランプリを受賞した成田さん。卸売りしかなかった販路を、直接消費者へ販売するCSAを導入して拡大することを提案したのです。

 

このCSAは「のせすく(能勢×サブスクリプション)」という名で、2021年6月からスタートしました。のせすくは会員制の前払い販売方法で、農家が届けた野菜を受け取りステーションとなっているお店やカフェなどに会員が引き取りに行くというスタイル。公式LINEをツールに、畑の様子を知らせたり、町の飲食店を紹介したり、レシピを共有したりするなど、卸売りにはなかった消費者との直接的なコミュニケーションが図れています。また、農家のモチベーションアップにもつながっていて、今後の広がりが期待されます。

CSAの取り組みに関する情報はこちらから:https://www.pref.osaka.lg.jp/attach/6182/00415857/fukyudayori101.pdf

のせすくのFacebook:https://www.facebook.com/NOSESPRICTIONS/

 

■有機野菜の普及に必要なのはストーリー

オーガニック野菜を普及させるための農林水産省の施策、「みどりの食料システム戦略」では、有機栽培面積を2050年には25%までに押し上げる目標が掲げられています。

 

「生産者を増やすだけでなく、消費する人も増やしてバランスをとる必要があります。まずはなぜ高いかを説明するところからスタートしています」と、有機野菜の普及にも力を入れています。

 

有機野菜だから美味しいということではく、通常農業でもおいしい野菜もあると話す成田さん。「おいしいから買ってくださいではなく、環境に配慮した作り方をしているところは通常と大きく違うところなので、それを理解して購入してほしい」。2月に種苗したトマトが6月には赤くなって収穫時期を迎えるという流れを感じてもらうことがおいしさに繋がる。そこにストーリーがあることで、よりおいしさを実感してもらえると考えています。

 

 

■イベント企画で地域を活性化

成田さんの研修先でもあり、ゆかりのない能勢町での就農にも力を貸してくれた「原田ふぁーむ」が米作りなどのイベントで地域交流の場を作ってきたことも参考に、今年からイベントの開催を始めた成田さん。

 

夏のカブトムシ採りやじゃがいも掘りなどのイベント企画では、前職の放送業界での経験が活きています。「参加した小学1年生の子が、カブトムシに、ぼくの名前をつけてくれたんですよ」とエピソードを披露してくれました。十分な手応えを感じている様子です。

 

 

■能勢町を有機栽培のまちに!

「能勢町はお米と栗が有名なんですが、収穫量が減ってきています。能勢の売りになるものは有機農業だと考えています」。能勢町で栽培した無農薬のお米を使っている酒蔵・秋鹿酒造(あきしかしゅぞう)や、40年以上前から有機栽培に取り組んで聖地となっている原田ふぁーむさんなど、有機野菜のまちとしての基盤は十分という成田さん。国が打ち出している施策の「オーガニックビレッジ宣言」に名乗りを上げることも視野にいれて、成田さんは活動の幅を広げています。

 

販売方法に変化はあったけれど、「今も楽しい!」と農業への思いは就農を決めた時から全く変わりません。これまで支えてくれた周囲の人たちに恩返ししたいという思いを込めて、有機野菜栽培と地域活性化への取り組みが続きます。

 

 

■新規就農を目指す人への成田さんからメッセージ

私は知り合いもない土地で農業を始め、周囲のサポートのおかげで継続ができています。失敗する方に多いのが、都会のコミュニティに疲れて農業を始めてみたものの地域で孤立してしまうパターンです。農業は一人でやるものではなく地域で取り組むものと理解して、行事などには積極的に参加するなど地域に溶け込む努力が必要です。田舎暮らしをしたいのか、真剣に農業をしたいのか、一度しっかりと考えてみることも大事です。いろいろなことに面白さを見つけられるのは強みになると思います。ぜひ挑戦してみてください。

成田ふぁーむさんのInstagram:https://www.instagram.com/naritafarm_nose/

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