徹底した水加減
「肥料の種類、畝の幅、種を撒く量。15年間いろいろな方法を試した結果、辿り着いたのは“水加減”です」。水をあげる量やタイミングが生育の具合に大きく影響するという。
しろなが綺麗に整列されているハウスを覗き込みながら、睦三さんが指を示す。「ほら、奥の方。あのエリアだけ緑色が少し濃くて、背が低いでしょ」言われてみたらそう感じるが素人目に、生育の差は判別がつかない。この微妙な変化を睦三さんは見逃さないのだ。「365日、農園に来ることを欠かしません。自分の目で畑の様子を確かめて、あげる水の量を微調整しています」
収穫したてを生で食べてみると、豊富な水分とともに甘みがじんわり口の中に広がる。このちょうどいい状態を保つため、ハウス内を縦横する散水チューブを日々改良する。細やかな“水加減”に努力を惜しまない、徹底したこだわり。
都市農業の弱点を克服したい
睦三さんには「堺市の若手生産者をグループ化したい」との長期的な目標がある。「栽培面積が狭い僕らの野菜は、他府県の大規模産地に物量でも価格でも負けてしまう恐れがある」と常に危機感を募らせる。この都市農業の「弱点」を克服する一つの手段として、グループで一定収量が確保できる新たな品目を栽培し、大規模産地に負けない基盤を作りたいという。
「先輩方に先導してもらったように、今度は自分たちが中心になって堺の農業を守りたい」。大阪農業にとって、睦三さんのような生産者の存在は心強い。農業一筋15年の姿は、次の15年先の農業を常に見据えている。
取材日 2018/11/7
記 事 川嶋亜樹
写 真 ミヤギナミエ
- 氏名 / ふりがな
- 北山睦三 / きたやまむつぞう
- 生年
- 1980年生まれ(38歳)
- 農家歴
- 15年
- 組織名
- 北山農園
- 役職
- 代表
- 主な生産作物
- しろな
- 正式な品種名
- 大阪しろな
- 耕地面積
- 施設(ハウス)2.5アール、露地2.5アール
- 特徴
- 農業一筋、大阪しろな一筋
- JAエリア
- JA堺市
- 購入方法
-
デイリーカナート中百舌鳥店、北助松店、住吉店、泉大津店 : https://www.izumiya.co.jp/shop/
北山農園
大阪府堺市中区見野山