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家族で連携、周年栽培。収穫量は、大阪一。

川口和弥さん

( かわぐちかずや / 川口農園 )

  • 泉南
  • JA大阪泉州
  • みつば
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大阪から和歌山へと走る南海本線の中ほど「二色浜駅」(貝塚市)界隈は全国有数の、みつば産地である。貝塚市のみつばは収穫量(市町村別)で全国15位、大阪では一番を誇り、茶碗蒸しやお吸い物、おひたし、和え物など、関西の食卓には欠かせない素材である。

眺めのよさは、平安時代から

「二色の浜」は、年間100万人が訪れる海水浴場や公園のある地域。名前の由来は、海岸線を織り成す白砂青松の「二色」から(諸説あります)。その美しさは平安時代を代表する歌人、紀貫之も「松の色は青く、磯の波は雪のごとくに、貝の色は蘇芳に」と「土佐日記」で紹介している。

元プロスキーヤーにして、プロ調理人

さて、親の代からみつばを生産する川口農園の川口和弥さん(49)を訪れた。和弥さんは、農家を継ぐ前、プロスキーヤーだったという異色の経歴を持つ。なかなかのイケメンで、いかにもスポーツマンと見受けられる。大阪にプロスキーヤーがいたのかと驚いたが、和弥さんなら一目見て納得できる。信州白馬の八方尾根を舞台に各種大会で、またスキー教師として活躍していたそうだ。

スキーは冬が本番ということもあって、春夏秋は飲食店の厨房で働く日々を過ごした。調理師の免許も取得した。調理の腕前もプロである。信州に残りそのままスキー業界で働くことを望んでいたが、お連れ合いと白馬で出会う。結婚をきっかけに、実家の農業を継ぐことにした。

冷やす、浸ける、干す、蒔く、暖める

実家の傍、作業場でのこと。冷蔵庫で冷やしていたみつばのタネを取り出して見せてくれた。タネは水に浸け、土間で干す。そうすることで冬眠の状態から目覚めさせる。切り込みの入ったスポンジ培地にタネを蒔く。暖かい発芽室でゆっくり発芽させていく。

「みつばでも、芽生えたときは双葉やで」。農園では毎年、子どもたちを受け入れている。子どもに興味を持ってもらえるよう、丁寧に教えている。「タネ代も結構かかってるんやで」と、裏事情も教えてくれた。

家族で連携、周年で栽培

双葉の後は、切れ込みの入った本葉が出てくる。本葉が出たあとしばらく育て、水耕栽培ハウスのプールに定植。さらに大きく育てて行く。採りごろになったみつばはスポンジごと収穫して、作業場へ持って帰る。家族総出で水洗いをし、袋詰め、箱詰めを手際よく行っていく。

仕事の流れはざっとこんな感じだが、実際の作業スピードは凄まじく早かった。この毎日の繰り返しがあり、料理人へ消費者へ、みつばは通年欠かさず届くのだ。恐れ入った。

しゃぶしゃぶにしてよし、サラダによし

みつばの食べ方、定番はお吸い物。目新しくは「しゃぶしゃぶ。それもダシで食べるのがおすすめやで」と和弥さん。みつばのダシしゃぶ、なるほど、ぜひためしたい。ほか、おひたしによし、サラダによし。アクセントに添えるだけでなく、茎と葉まるごとなんとも贅沢な食べ方を、生産農家は知っている。

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