カボチャと大麦が育つ畑
岸和田市池尻の山本浩士さん(46歳)。就農して4年目。生食用のカボチャを栽培しているとのことで、早速、畑へ。ご自宅から15分ほど車を走らせて、ようやく到着。一面に拡がるカボチャの葉の間から、可愛い黄色の花が見える。カボチャの隣ですくすくと育っている葉っぱは、雑草ではない。
「雑草抑制にもなりますし、緑肥にもなるんですよ」。浩士さんが畝間に植えているのは、「てまいらず」というリビングマルチ栽培に適した品種の大麦である。春に播くと穂が出ず、ひざ下くらいの草丈で生育が止まり、自然に枯死するというユニークな特性があり、雑草抑制や乾燥防止に加え、野菜の害虫被害軽減効果がある。カボチャの土づくりには、豚糞堆肥を使っている。
先に就農したのは、弟だった
「緑に関係する仕事」に就きたいと思い、就農前には造園会社でサラリーマンをしていたことがある浩士さん。農家の長男ではあったが、先に就農したのは弟さんだった。「大地を耕し、種を蒔き、太陽の光や雨など、自然の恵みで農産物を育てる。つくったものは近所の直売所で販売できるし、定年もない。両親や弟の農業経営を横で見ていて、なんか農業ってええな~って思えたんです」。
研修先から引き継いだ、バトン
自分も農業をしようと思い立った浩士さん。和歌山県の農業大学校で9カ月の研修を受けた。その時の研修先の農家が、「鈴かぼちゃ」というブランド名の生食用のカボチャを栽培していた。京都にある株式会社アグリジャパンとの契約栽培だった。
カボチャは重量野菜である。高齢農家には収穫や運搬が大変であった。そろそろカボチャ栽培をやめようかと思っていた研修先の農家さんと、浩士さんの研修期間の終了日のタイミングがちょうど重なり、鈴かぼちゃの契約栽培を浩士さんが引き継ぐことになった。
「鈴かぼちゃ」は、皮は緑色であるが中身は澄んだレモン色。水洗いして皮ごとスライスするだけで、簡単にサラダの一品になる。「着果させてから約2~3週間、薄緑色の400グラム程度の小さなカボチャを選んで収穫しています。美味しいカボチャの見極めが難しいんです」。浩士さんの目利きでセレクトされ、収穫された鈴かぼちゃ。実際に試食させてもらうことにした。