新たな岸和田名物「彩誉」を生産
水なすに加えてニンジンにも力を入れて栽培している。ニンジンは「彩誉」という甘みの強い品種。地元岸和田で新しく種が開発された。
甘いニンジンなら他にもたくさんあるが、「彩誉」は独特のクセがなく、生で食べても甘くておいしい。熱を加えて調理をすればさらに甘さが引き立つという、まさに衝撃の甘さをもつニンジンなのだ。
彩誉誕生の地として岸和田市の新たな特産にすべく、岸和田商工会議所は市と協力し、「彩誉ブランド化推進委員会」を設立。商品開発やPR活動を手掛ける事業者を募集した結果、岸和田4Hクラブ、加工メーカー等、農協、市、商工会議所で「彩誉ブランド化実行委員会」を設立するに至った。
孝信さんも、岸和田4Hクラブの一員として彩誉の栽培、販売促進に力をいれてきた。彩誉ブランド化実行委員会に所属する会のひとつとして、平成31年5月には岸和田発彩誉の生産者組合といえる「きしわだ彩誉会」を仲間と設立し、現在は7名で活動している。
「もともと岸和田の土はニンジン栽培には最適とはいえないので、個々の農家が独自でバラバラに栽培するよりも、生産者でまとまって品質の統一をはかり、技術を高めあうことを目的としています。仲間とともに、彩誉をPRしていきたいです」。
きしわだ彩誉会では、2019年夏、「彩誉栽培体験」のイベントを開催した。1組1万円の参加費で種まき、除草・追肥作業、収穫が体験でき、200本以上の収穫が予定されている。イベントの合間のお世話は、彩誉会のメンバーが担う。
「彩誉は、びっくりするほど甘くて美味しいので、ぜひたくさんの方に食べていただきたいです」という孝信さん。
農作業には、奥さまの真理子さんとパートさんのほか、なす植えやニンジンの収穫には、4人のお子さんのうち、小学4年生の長男と小学3年生の長女も助っ人として大活躍してくれるそうだ。5歳と3歳の下の2人のお子さんも遊びに来ると畑は賑やかになる。
サラリーマン時代は、材料を組み立てて工業製品をつくっていた孝信さん。どの製品も同じように出来上がるのが当然だった。しかし農産物は違う。天候に左右され、思うように育たない場合もあるが、やり甲斐があって楽しいという。今年はハウスも建設する予定。
「生のなすで勝負します。もっともっと腕を磨いて、持ったときにずっしりと重たくて美味しい艶のある水なすをつくりたいです」と熱く語る孝信さんであった。
【 取材者 】中塚華奈
【 撮影者 】柴田久子
【 取材日 】2019年7月10日