システム技術者から、園主へ
もともと機械やコンピュータに興味をもっていた正さん、京都産業大学理学部計算機科学科では、情報処理を専攻した。卒業後は、システムアナリストやシステムエンジニアとして活躍していた。32歳の時、父義彦さんが体調を崩され、やまびこ園を正さんに託したい雰囲気を醸し出されていたという。当時、ダイキン工業に勤めていた正さんは、しばし考えた。
「会社の業務は、物流部門のシステムに関わる仕事。倉庫があり、モノがあり、それを運ぶ人がいる。よく考えたら、うちの農園も同じ。倉庫があり、農産物があり、それを流通させる仕事だ。人生は一度きり。1日はたった24時間。限られた時間のなかで、実家の農園でできる仕事をよその会社でやるのは贅沢、というよりもったいないことをしていたのかもしれない」。
いつかは農園を継ぐという思いは、心の片隅にずっとあった。父の体の不調や、自分の年齢を考えた時、「やるなら今やな」という気持ちになった。かくして、やまびこ園の2代目となった正さん。いち早くホームページを開設し、自ら出演する動画も配信。ポスターやチラシも自主作成して、Facebook、ツイッター、インスタグラム、LINEなどで積極的に情報発信する。
やまびこ園を継いでから、農業経営のあり方を模索し、地域農業のリーダーとしても行動した。その活動が評価される。正さんは、第16回なにわ農業賞を受賞した。同2015年には、第三回百姓川柳コンクールで1位に入賞。多才である。その時の川柳がこちら。
「我々は 瑞穂の国の 主人公」
コンクールの講評で審査員から絶賛された。「自給自足が望ましいなどと言われても、実際はTPPに見られるように『農』が大事にされているとは思えません。そんな中にあって、昔から瑞穂の国と言われるこの日本の主人公は農業に携わる我々だという自負と気概が感じられるいい句です」。
一年中たのしめる、しかけの宝庫
取材にお伺いしたのは1月下旬。栗もみかんも、オフシーズンだ。しかしバーベキューは一年中実施可能、ということで正さんと一緒にやまびこ園のみかんとさつまいもを七輪で焼いてみた。ホクホクの焼きみかんは、シロップ漬けのみかんかと思うくらい甘くなり、サツマイモは言わずもがな。極寒バーベキューも、これまた楽しいではないか。
園内には、「やまびこ園なう!!」「バーベキュー楽しい~」「みかん美味しい~」「いも掘ったど~」「くり拾ったど~」などの吹き出しプレートやみかんの顔出しパネルがおいてあり、自由に使える。毎年、秋にはフォトコンテストを開催する。風景、作物、味覚狩りやバーベキューの様子など、題材は自由。入賞者には、みかん狩りの入園券やみかんが進呈される。
「お客さまの笑顔を見た時、感謝の言葉をいただいた時がとても嬉しいです。これからもたくさんの人に、農業を通じて感動してもらえる場所を提供していきたい」という正さん。昭和レトロな雰囲気と正さんの素敵なホスピタリティ、四季折々の山の恵みと自然が織りなす魅力あふれるやまびこ園。あなたのお気に入りの一枚を撮りに、ぜひ訪れてみてほしい。
取材日 2019/1/25
記 事 中塚華奈
写 真 柴田久子
- 氏名 / ふりがな
- 道籏正 / みちばたただし
- 生年
- 1960年生まれ(58歳)
- 農家歴
- 27年(1993年より就業)
- 前職 / 出身校
- ダイキン工業株式会社 / 京都産業大学理学部情報計算機化学
- 組織名
- やまびこ園
- 役職
- 代表
- 従業員
- 常勤2人+奥様+息子さん+繁忙期にパート7人程度
- 主な生産作物
- みかん、栗、サツマイモ、コメ、野菜
- 正式な品種名
- 早生みかん、銀寄、紅あずま、ヒノヒカリ
- 耕地面積
- みかん70アール、栗70アール、サツマイモ50アール、水田20アール、野菜20アール、ほかバーベキューの広場や里山
- 特徴
- 大阪の南、富田林の静かな山に囲まれた観光農園。屋根があるので雨天でもバーベキューが可能。
- JAエリア
- JA大阪南
- 購入方法
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やまびこ園内の直売所
- ホームページ
- やまびこ園 : http://www.yamabikoen.com
- SNS
-
Facebook : https://www.facebook.com/yamabikoen/
SNS一覧 : http://www.yamabikoen.com/original28.html
やまびこ園
大阪府富田林市伏見堂928-1