その日のうちに完熟収穫
「うちは、その日に収穫したものをお客さんに送るようにしているので、注文は日付の指定なしで受けさせてもらっているんです」。一番、いい状態でお客さんに届けたいからだ。ネット販売は、種類別ではなく『厳選朝採りぶどう』として、詰め合わせにして販売している。販売期間は8月中旬から10月初め。この期間は、朝の9時半から11時半の2時間だけ直売もしている。
何種類ものぶどうを栽培している田中さんに好きなぶどうを聞いてみると「個人的には種ありの巨峰かな。あと、子どもの頃から食べているマスカットベリーAが好きですね」と答えが返ってきた。
今、楽しみにしているぶどうは「BKシードレス」という品種だそうだ。1990年に九州大学農学部附属農場篠栗果樹園で、マスカットベリーAと巨峰の交配で得られた実生から選抜された品種で、2011年2月15日に品種登録公表されたものだ。
なんと、好きなぶどうから生まれた品種ではないか。「BKシードレス」を植えて、今年で3年目だそうだが、あと何年かして「これでいける!」となる日が来るはずだ。
海外も視野に入れている
「こんな不便な場所にあるのに、外国の人が突然、訪ねてきたことがあるんですよ」と田中さん。なかなかわかりにくい場所であるが、英語版のホームページを見て、いきなり訪ねてきたそうだ。
実は、海外展開も視野に入れている。去年は試験的にマカオへ出荷した。今年は、大阪府の支援で香港、台湾でも出荷してみる予定だ。今後は、農作物や加工品の輸出も考えており、世界へ広げていくことを目指している。
楽しく儲ける、そのための努力はおしまない。常に次なる一手を考え、楽しく儲けるために、計画を立てながら進んでいる。愛情を持って丁寧にぶどうを育てるごとく、田中ぶどう園もどんどん育っている。
【 取材者 】湯川真理子
【 撮影者 】田村和成
【 取材日 】2019年7月24日