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しいたけ狩りにいらっしゃい。

渡邊美広さん

( わたなべよしひろ / 高槻しいたけセンター )

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JR高槻駅北口から路線バスで約40分、マイカーなら約25分で「高槻森林観光センター」に到着する。森林観光センター全体は大阪府森林組合の運営で、天然温泉「樫田温泉」をはじめ、旅館、コテージ、屋内BBQレストラン、屋外BBQ場、カフェ、木工クラフトセンター、直売所、川遊び、アスレチックなど充実した複合レジャー施設である。

今日訪れた「高槻しいたけセンター」もその一つ。一年中しいたけ狩りが楽しめるとあって、森林観光センターの目玉となっている人気のスポットだ。

林業と密接なシイタケ栽培

「日本標準産業分類」でシイタケ栽培は、「野菜作農業(きのこ類の栽培を含む)」に分類されているが、農業よりも林業に分類した方が正しいのではないかと思うほど林業との関係が深い。とくに原木シイタケは林業の衰退とともに生産量が激減している。シイタケ生産は、林業や山村との繋がりなくして成立しないのだ。

高槻しいたけセンターで原木シイタケを生産しているのが渡邊美広さん(49)。祖父は炭焼きの名人といわれ、父は山仕事に従事しながら昭和41年(1966)にしいたけセンターを立ち上げた林業一家である。

高槻市田能の山村に生まれ育った美広さんは鳥取大学農学部に進学してキノコを研究した。卒業後は化学メーカーの研究職として働いていたが、平成12年に世代交代、しいたけセンターの後を継いだ。

原木シイタケの栽培方法を教えてもらった

高槻しいたけセンターから約5分の山間にある広大なバックヤードに、山から伐り出されたコナラやクヌギ、アベマキの原木=ホダ木が運ばれてくる。多孔式自動穴あけ機で1本あたり40個ほどの穴を空け、穴には種駒といわれるシイタケ菌を植え付ける。これが「植菌」で冬の作業。

次に菌が蔓延するまでホダ木を寝かせておく「仮伏せ」。梅雨前くらいにホダ木を井桁状に組み直して、秋冬頃まで待つ「本伏せ」。菌糸が十分に蔓延したホダ木をセンターに運び、水槽に「浸水」させる。そしてしいたけ狩りスペースに運んで発生させるのだ。この間1年以上。その時間と労力に敬意をはらいたい。

通常、春と秋にだけ発生する原木シイタケを年中生産できるのは凄いことである。スーパーで年中見かけるシイタケの大半は菌床シイタケだ。自然栽培の原木シイタケとは作り方が異なる。

美広さんは生産に適した環境を維持しながら、夏にも強いシイタケ菌など5、6種類のシイタケを育てることで一年中原木シイタケの生産を可能とした。センターの周りには大阪府の準絶滅危惧種に指定されているモリアオガエルの卵をたくさん見かける。

ここはシイタケにとってもかなり良い環境なんだろう。

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