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幻の白筍をつくる。竹藪に通い、土からつくる。

岸上幸一さん

( きしがみこういち / 家族経営 )

  • 泉南
  • JA大阪泉州
  • 大阪たけのこ
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幻のタケノコ、白筍(しらこ)

タケノコには「淡竹(ハチク)」や「真竹(マダケ)」など様々な種類があるが、国産タケノコの代表種は「孟宗竹(モウソウチク)」。岸上家の竹も「孟宗竹」である。

竹は地中で地下茎を四方八方に広げ、春になると地上に芽を出す。芽を出したものがタケノコだ。土質や水分量などによって、「くず」「じゃみ」と呼ばれる小さくて色の黒いものから、「かた」と呼ばれる大きくて色の白いものなど、いろいろな形や色のタケノコが出てくる。

年間にわずかだけ採れる「白筍(しらこ)」と呼ばれるタケノコは、その名が示す通り、皮も白く、すっきりとしてえぐみがなく柔らかいもののこと。タケノコは日に当たるとアクが出るため、地上に頭を出す前に掘り出したものは極上の「白筍」となる。

季節限定で「泉州木積産朝掘り筍のコース」を提供している大阪の高級料亭では、「白筍」を調理する際には、タケノコのアクが出ないよう、調理時にも部屋を暗くして皮を剥いているのだとか。白筍がいかに重宝されているのがわかる。

タケノコ掘り、極意

岸上家のタケノコ山のひとつ「東藪」につれていってもらった。車に乗せていただいて数分。山道を登っていくと、竹藪が現れてきた。ご近所が所有されている竹藪のなかには、ほとんど手入れされていないところもあり、昨年の台風でなぎ倒された爪痕が、そのまま残っていた。

岸上家の所有する竹藪は「土いれ」をしていることもあって、平らなスペースが比較的多く、足を踏み入れるとフカフカで気持ちよい。

昼過ぎではあったが、タケノコを収穫してもらえることになった。朝に一通りの収穫を終えているため、土から頭の先を出しているタケノコは見当たらない。しかし、幸一さん、和男さん、真理さん、力樹さんたちは地中にいるタケノコを巧みに見つけ、向きを見極め、テコの原理を使い、タケノコ掘り用の鍬で、いとも簡単に掘り起こしていく。さすがプロ集団だ。

「ひばりを見つけるんですよ」と幸一さん。「ひばり」とは、「ひび割れ」のこと。タケノコが地上に出る一歩手前の、ほんの少しだけ土が盛り上がったところを見分けて掘るのが、たけのこ掘りの極意なのだという。

そして、ついに、幻のタケノコ「白筍」に遭遇。皮の白いタケノコを見たのは、初めてだった。その場でスライスしてもらい、口にいれてみた。まったくえぐみがなく、柔らかいけれど、かみごたえもある。その食感と甘さは、まるで梨のようだった。感動。

人生を楽しむ、癒しのスポット

竹藪で幸一さんがつぶやいた。「藪にいてると癒されるんです」。ふかふかの土、緑鮮やかな竹林、キラキラと差し込む日差し、爽やかなそよ風、見上げると真っ青な空。タケノコを掘る作業は、決して楽ではないが、この空間が与えてくれる心地よさは、他の何にも変えがたく、家族や親戚との絆も育まれている。

「たけのこ掘りなんてね、一人でやっていても面白くないですよ。こうやって、わいわいとみんなで竹藪を手入れして収穫できることが、ええんちゃうかなって思います。友人を招いてタケノコ掘りを楽しんでもらうこともできるし、終わってからのBBQパーティーも楽しい。趣味というかCSRみたいなもんですね」という幸一さん。

今後の目標をお聞きすると「もっといいタケノコが、たくさん出たらええなぁ。木積のタケノコのブランド力のアップと地域の交流や活性化にも役立つと嬉しく思います」とのこと。先代から引き継いできた竹藪は、幸一さんやご家族、ご親戚にとって、生業の一つであると共に、癒しの場であり、人生を楽しむ素敵なツールにもなっているように思えた。

取材日 2019/4/16

記 事 中塚華奈

写 真 柴田久子

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氏名 / ふりがな
岸上幸一 / きしがみこういち
生年
1960年4月生まれ
農家歴
生まれた時から
前職 / 出身校
ネームタグの卸「サトーネーム株式会社」、現在も兼業。
組織名
家族経営
従業員
家族と弟家族
主な生産作物
白筍(しらこ)
正式な品種名
孟宗竹
耕地面積
タケノコ山1200坪、水田400坪、畑500坪
特徴
親子兄弟親戚みんなで団結。
理念
どうせやるならええもんつくろう!
JAエリア
JA大阪泉州

家族経営

大阪府貝塚市木積

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