コーヒー店やレストランとのコラボ
八尾市内の店の軒先などで曜日ごとに販売場所や時間が変わる「へちまきゅうり」は、毎週水曜日の13時から14時まで、東大阪市の河内小阪駅近くにある自家焙煎コーヒー店「IRORI COFFEE ROASTER」(以下、「いろりコーヒー」)の店頭で、野菜販売を行っている。
ふらっと立ち寄ってみたところ、佑子さんのいちじくやイタリアンパセリのほか、「やるやん大阪農業」の取材農家のお一人である河内長野の「垣内農園」のぶどうも並んでいた。
「へちまきゅうり」と「いろりコーヒー」とのご縁は、「へちまきゅうり」のスタッフで野菜ソムリエでもあるuraraさんが、「いろりコーヒー」の常連客だったことがきっかけ。ひょんなことから仲間がどんどん繋がっていく。
「いろりコーヒー」店主の井本忠男さんは、2006年から河内小阪の駅前で自転車店を経営していたが、サイクルカフェをしようと2012年に自家焙煎のコーヒー店に転向し、2018年に現在の店舗をオープンした。
「人が集まる場所にしたいという想いをこめて、店名をIRORI(いろり)にしました。これからもへっちー(「へちまきゅうり」の長倉さん)やこだわり農家とのコラボイベントを開催し、佑子さんのような新規就農者の応援につながると嬉しいです」という井本さん。
佑子さんには、自分がつくる美味しい農産物とそれにまつわるストーリーを共に伝えてくれるたくさんの仲間と応援団がいる。
9月に開催した「無農薬いちじくを愉しむ会」は、「いちじくカレー作りのワークショップ→佑子さんのいちじくの話→いちじくブランチとデザート」という流れ。「ナチュラル・カラーガーデン」の酒井さんとの共催で行った。8月には「イタリアントマト」で行ったこの企画は、11月の食材はニンジンで開催する予定。
「毎回、お料理とデザートのクオリティが高くて、わたしも楽しみにしているんです。食べる人が近くにいるので、輸送距離が短く、完熟のものを新鮮な状態で届けられるのも大阪農業の強み。イベントを積極的に企画し、たくさんの人と交流できる農場でありたいです」と微笑む佑子さんであった。
「この人がつくる農産物を売りたい&食べたい」と周りの人に思わしめる佑子さんの、そこはかとない魅力。人と人との繋がりの大切さやコミュニティの可能性と、都市農業の意義を再認識することができた。
取材日 2019/7/25
記 事 中塚華奈
写 真 柴田久子