信念の農業人、小松菜に生きる。
泉北
霜野要規さん
(
しものとしのり / 株式会社しものファーム )
目指すは「農の匠*」である父。尊敬する人物は深井(堺市)の地に井戸を掘り、人々の生活を豊かにした奈良時代の高僧「行基(ぎょうき、668-749年)」。堺市中区に本社がある株式会社しものファーム代表の霜野要規さん(48)は、歳を重ねてなお、常に己を見つめ、謙虚な姿勢を崩さない。
*農の匠とは、大阪府知事が認定する制度。農業経営に優れ、若手育成や食育に熱心な地域農業のリーダーが対象。大阪府に94名(2019年1月末現在)。1993年、霜野繁治が認定される。
関西初の小松菜生産...
-
主な農産物
大阪こまつな
-
エリア
泉北
-
管区JA
JA堺市
仲卸で流通を知り、直取引の販路を開拓。
北河内
橋本嘉昭さん
(
はしもとよしあき / 橋本ファミリーファーム )
大阪市と奈良県に隣接する大東市。古来より、京都と高野山を結ぶ交通の要所として栄えた土地だ。現在では、大阪屈指のターミナル駅京橋から電車で約20分とアクセス良好。生駒山地の麓、大東市北条町を訪ねた。
大東市唯一の専業農家
橋本嘉昭さん(33)は、橋本ファミリーファームの6代目。かつて豊かな農業生産地であった大東市で、今や唯一の専業農家である。
農園の名の通り、ご両親との家族経営。8年前に家業を継ぎ、ここ北条町を拠点に水耕栽培のトマト、米、季節野菜を生産している。...
-
主な農産物
トマト
-
エリア
北河内
-
管区JA
JA大阪東部
飼料は手作り、循環型。養鶏の本来を、堺で追求。
泉北
吉田妙子さん
(
よしだたえこ / ヨシダファーム )
元禄11(1698)年、譜代大名の渡辺基綱が河内国、和泉国、近江国に1万3,500石を所領する大庭寺藩(おおばじはん)として立藩、陣屋を構えた由緒ある土地が堺市大庭寺である。この半世紀で、周囲は泉北ニュータウンや阪和自動車道、堺泉北道路などに囲まれたが、大庭寺地区は今ものどかな農村風景を残している。大庭寺に、食の都大阪の料理人達を唸らせる鶏卵があると聞いてやってきた。「ヨシダファーム」園主・吉田妙子さんが育てる卵である。吉田さんは機械メーカーで設計の仕事をしていたが、...
-
主な農産物
畜産
-
エリア
泉北
-
管区JA
JA堺市
堺を愛し、堺で結束。堺を引っ張る生産者。
泉北
堺生まれの堺育ち。「これからもずっと堺で暮らしたい」そう話すのは上田裕貴さん(32)。2018年から青年農業グループ「堺4Hクラブ」の会長を務める。堺を愛する若手生産者のひとりだ。
祖父の農法を守り継ぐ
父が多種品目の季節野菜を栽培。裕貴さんはニンジン、大根、タマネギなどの根菜を担当している。
「品目は、大体そんな感じかな。はじめて考えるわぁ」と返答は終始大らか。しかし新婚の妻曰く、性格は「真面目で、几帳面」。
「昔から除草剤は使わず、雑草はす...
-
主な農産物
ニンジン
-
エリア
泉北
-
管区JA
JA堺市
人生初の表彰状は、キャベツで大阪府知事賞。
泉南
ご結婚おめでとうございます。JR阪和線長滝駅前に到着して、真っ先に声を掛けた相手は、新婚ホヤホヤの生産者、角谷裕生さん(38)。先月に結婚式を挙げたばかり。妻の紗織さんと揃って出迎えてくれた。
ふたりの馴れ初めは後ほどゆっくり。まずは、大阪を代表する野菜「泉州キャベツ」を紹介したい。
大阪人が愛する、松波キャベツ
ここ泉佐野市の長滝を含む泉州地域は、冬に収穫できる「寒玉キャベツ」の生産地。1950年代に本格的な栽培普及がはじまり、泉州キャベツとして全...
-
主な農産物
泉州キャベツ
-
エリア
泉南
-
管区JA
JA大阪泉州
父子二代、のめりこんだ結果いま、きのこ作り名人。
北摂
中野稔さん
(
なかのみのる / 穂積きのこセンター )
大阪モノレール宇野辺駅から徒歩10分。大阪万博記念公園からも程近い場所に地域で有名な、きのこ作り名人がいる。「穂積きのこセンター」の中野稔さん(50)。年間約2万株のぶなしめじを菌床栽培している。
大阪のぶなしめじ農家? といぶかる人も多いだろう。それもそのはず、生産した大半が地元だけで消費されている。知る人ぞ知る幻の農家だ。
研究者だった父の転身
創業は1975年に遡る。大手食品メーカーの研究員だった父が、酵母研究のため大阪大学に出向。そこで、ぶなし...
-
主な農産物
ぶなしめじ
-
エリア
北摂
-
管区JA
JA茨木市
フラワーコミュニケーション。花があるから始まる事。
大阪市
金田博充さん
(
かなたひろみつ / 花工場大阪 )
大阪市住吉区の花壇苗農家、金田博充さん(48)。就農して今年で21年目。パンジー、ビオラ、葉ボタン、ガーデンシクラメン、サクラソウ、ナデシコ、ベゴニア、ペチュニア、サルビア、マリーゴールド、ノースポール、デイジーなど、年間に約40種類の花の苗を生産している。
出荷先は、卸売市場、種苗会社や造園会社、東大阪のJAの直売所などへ年間約35万ポット。小学校や幼稚園からは花壇づくり用の苗、その他にも年末に寄せ植えの注文が入ることもある。
大阪市と堺市のデュアル営農
大...
-
主な農産物
花卉
-
エリア
大阪市
-
管区JA
JA大阪市
味と出荷の安定が使命。都市農家はメーカーである。
泉北
木下健司さん
(
きのしたたけし / キノシタファーム )
ノーカではなく、メーカー
キノシタファーム代表の木下健司さん(39)の畑は、岸和田市と和泉市にあり、合計約1ヘクタール。年間に出荷するミニトマトは約30トン。「アマメイド(Amamade)」という独自ブランドを立ち上げ、糖度が8以上のミニトマトを通年出荷している。
スーパーや小売店にとって、棚が空っぽになる「欠品」はご法度。健司さんがミニトマトの「メーカー」を名乗る背景には、「商社での代理店(卸)業」「スーパーへの食肉卸業」「製紙メーカーの営業」という異業...
-
主な農産物
トマト
-
エリア
泉北
-
管区JA
JAいずみの
自然農で里山を守る、グローカルなウーフホスト。
泉北
飯阪誠さん
(
いいさかまこと / めちゃうま農園 )
飯阪誠さん(49)は、和泉市の里山で原木シイタケ、竹藪でタケノコを採り、ヤギやニワトリを飼い、自然農を営んでいる。
台風で壊滅してしまったシイタケ山
「えらいことになってしまったんです。シイタケ山が壊滅状態で、もう30アールくらいしか残っていません」。取材はショッキングな言葉から始まった。
原木シイタケのホダ場の3分の2が、倒れてきたスギやヒノキの下敷きになってしまったという。平成30年9月、最大瞬間風速58.1メートルで大阪を襲った台風21号(チェ...
-
主な農産物
しいたけ
-
エリア
泉北
-
管区JA
JAいずみの
農業が就職先の一つになる世の中にしたい。
北河内
大矢耕平さん
(
おおやこうへい / 大矢農産 )
耕作放棄地を借り、トマトを始める
農業を始めて、3年とちょっと。大矢農産の代表、大矢耕平さん(27歳)は交野(かたの)市内のビニールハウス15アールでトマトを栽培している。トマトのサイズは、ミニ、中玉、大玉。
「実家は農家ですが、父は家具職人。ごく一般的な、兼業農家です。自分が農業を継ぎ、いざトマトを栽培しようとハウスを建てる決断をしても条件にあう農地がありません」。
そこで耕平さんは、山間部の耕作放棄地を農業委員会の斡旋で借りた。10アールの農地に...
-
主な農産物
トマト
-
エリア
北河内
-
管区JA
JA北河内
栽培、直売70品目。都市の陽だまりのような農家。
北河内
滝本拓馬さん
(
たきもとたくま / おひさまファーム )
三世代9名で営む、おひさまファーム
向かったのは、寝屋川市 高柳の住宅街。そこに農産物の直売所「おひさま野菜 拓」がある。出迎えてくれたのは、店長の滝本拓馬さん(31)、拓馬さんの母多美子さん(61)、祖父の信夫さん(88)。三世代3人を前にしてのインタビューとなった。
「農繁期には、姉夫婦、弟夫婦も手伝ってくれるんです」という拓馬さん。おひさま野菜 拓を運営するのが「おひさまファーム」。おひさまファームは、拓馬さんと拓馬さんの祖父、両親、妻、姉夫妻、弟夫...
-
主な農産物
米
-
エリア
北河内
-
管区JA
JA九個荘
効率主義ではつくれない味。ミルクと野菜の循環農業。
泉北
北尻芳孝さん・寛光さん
(
きたじりよしたか・ひろみつ / 北尻牧場 )
堺市南部の伝説の地、上神谷(にわだに)
泉北高速鉄道と並走する泉北1号線から、住宅街を抜けると田園地帯が広がる。そこから高台を登っていくと、北尻牧場のサイロと牛舎が見えてきた。その北尻牧場のある堺市南区富蔵(とみくら)の旧村名は「上神谷(にわだに)」という。
西暦670年、鳳凰に姿を変えた天照大神がこの地に降臨したという伝説があるところだ。古代は神のことを「みわ」と言い、それでこの地域は「上神郷(かみつみわのさと)」と呼ばれた。それが「みわのさと」から「にわ...
-
主な農産物
畜産
-
エリア
泉北
-
管区JA
JA堺市
水を加減し、水で育てる。なにわ伝統野菜で勝負する。
泉北
北山睦三さん
(
きたやまむつぞう / 北山農園 )
北山農園のある堺市見野山(みのやま)は、泉北高速鉄道 泉ヶ丘駅から東へ車で10分。紅く色づき始めている街路樹を通り抜けると、住宅地の中に農業用ビニルハウスが姿を現した。
出迎えてくれたのは北山睦三さん(38)。曾祖父の代から農園を営み、大阪しろなをメインに、春菊、タマネギを生産している。
今流行りのスタイリッシュな髪形に、思わず「決まってますね」と声を掛けると、「実は昨日、美容室に行ったんですよ。『せっかく写真撮ってもらうんやから、髪の毛ちゃんとしておいで』と嫁に言...
-
主な農産物
大阪しろな
-
エリア
泉北
-
管区JA
JA堺市
田んぼに出れば生産者、店に立てば料理人。
北河内
中西正憲さん
(
なかにしまさのり / 株式会社門真れんこん屋 )
門真市は、大阪市の中心部から直線にして10kmほどの距離。松下幸之助を祖とするグローバル企業パナソニックが本社を置く街として有名だ。タイガー魔法瓶や東和薬品、フィギュアの海洋堂なども本社を置く、全国有数の企業都市である。
門真れんこんの故郷と歴史
大阪の食の世界で門真と言えば、そう「門真れんこん」である。門真れんこんの歴史は、名だたる大企業よりもずっと古い。
門真で代々蓮根を生産してきた中西正憲さん(61)に話を伺った。「江戸時代あたりまで、門真一帯...
-
主な農産物
れんこん
-
エリア
北河内
-
管区JA
JA北河内
命めぐる養魚場。東大阪にアクアポニックスあり。
中河内
山口裕之さん・山口裕二郎さん
(
やまぐちひろじ・ゆうじろう / 山口養魚場 )
魚だけじゃない、畑も田んぼもやる農家
生駒山の麓、東大阪市下六万寺町にある山口養魚場を訪ねた。出迎えてくれたのは、四代目の山口裕之(ひろじ)さん(62)と五代目の山口裕二郎さん(30)。
養魚池ではなくはじめに案内されたのは、畑だった。畑では、緑色の葉が朝露で光っていた。畑の横は田んぼで、稲刈り後の金色の稲株が並ぶ。土づくりには自家製の燻炭を使い、農薬は極力使用しない。大阪府「エコ農産物」の認定を取得している。
畑にはダイコン、カブラ、ハクサイ、ワ...
-
主な農産物
魚
-
エリア
中河内
-
管区JA
JAグリーン大阪
梨で大阪オンリーワン、販売農家第一人者。
南河内
中谷仁大さん
(
なかたによしひろ / 中谷農園 )
梨栽培130年の歴史を復活
大阪市内から南海電車で30分。河内長野市小山田にある中谷農園の三代目園主、中谷仁大さん(34)を訪ねた。
小山田丘陵は、日当たりが良く、粘土質土壌。大阪府下ではいま、岸和田市の包近(かねちか)とならぶ桃の産地であるが、以前は梨の産地だった。梨に赤星病が発生し、地域の高齢化も相まって、多くの農家が生産の容易な桃へ切り替えていったのだという。
130年の歴史を有する小山田の梨栽培を、中谷農園では仁大さんのお父さんの代から復活さ...
-
主な農産物
なし
-
エリア
南河内
-
管区JA
JA大阪南
「ええで、まかしとけ」よろず農家の手助けのプロ。
中河内
西田雄一郎さん
(
にしだゆういちろう / 西田ヤ )
農業オペレーターの「休宝田活動」
待ち合わせは、田んぼ。横道に、コンバインを積んだ大きなトラックで颯爽と現れた西田雄一郎さん(38)。
場所は、東大阪市池島。田んぼの持ち主は雄一郎さんの本日のクライアント、芝田正明さん(75)だ。米の乾燥機が壊れ、急遽、稲刈りから乾燥籾すりまでを雄一郎さんに依頼した。雄一郎さんのコンバインの扱いは、さすが手助けのプロ。芝田さんの細やかなサポートも相まって、稲刈りはあっという間に終了。一同、一安心だ。
「困った時に助け...
-
主な農産物
米
-
エリア
中河内
-
管区JA
JAグリーン大阪
古墳の街で、大阪最先いちじく栽培。
南河内
古(いにしえ)より人気のくだもの、「無花果」と書いて「いちじく」と読む。花が無いから無花果ではなく、果実の中のツブツブこそが花なのだ。いちじくの美味さを際立たせているのは、花のあの歯ざわりだと思う。
いちじくは古くから人々を魅了してきた。メソポタミア、エジプト、ギリシャ、ローマでは紀元前より栽培されていたという。古代より女性に人気で世界三大美女の一人といわれるクレオパトラの大好物でもあったとか。いちじくはまた現代の女性にも人気だ。
古墳の街に、いちじく産地
-
主な農産物
大阪いちじく
-
エリア
南河内
-
管区JA
JA大阪南